『PRESENT』オフィシャルインタビュー

10周年イヤーを迎え、リリースされる4thアルバム『PRESENT』はどんな姿勢で取り組んだ作品ですか?

VALSHE:  

基本姿勢としてアニバーサリーにはこだわらなかったんです。昨年、ちょうど100曲目に当たるシングル「「SYM-BOLIC XXX」」をリリースした後、アコースティックツアーに臨んだのですが、ツアーを経て13thシングル「紅蓮」をリリースしたときには“次に提示するのは“記念アルバム”でいいのかな?”って、自分の中でずっとひっかかりがあったんですよね。

記念アルバムというとベストとか集大成のイメージがありますよね?

VALSHE:  

そうなんです。“10th Anniversary Album”みたいな作品をいま作る必要性について考えていたのと同時に、アコースティックツアーで得た答えを作品で提示できないだろうか? と。結果、昨年、自分がやってきたことを反映させるアニバーサリーとは別もののアルバムを作ることに着地したんです。アルバムタイトルの『PRESENT』はダブルミーニングになっていて、“贈り物”という意味と“VALSHEの現在”。リアルタイムのVALSHEの作品群を届けるという意味があります。

過去をふりかえるのではなく、いまのVALSHEさんがいちばん表現したいと思っていることを届けたいと思ったんですね。

VALSHE:  

やりたいことだったり、アコースティックツアーで自分が得たことだったり、そういうものを作品として昇華したいと思ったときに“記念”という冠はちょっと邪魔だなと思ったんです。

アコースティックツアーで得たものについて教えてください。

VALSHE:  

細かく言えばたくさんあるんですが、大きなところで言うと“目線の違い”ですね。これまで“自分自身はこういうふうに考えているけど、あなたはどう思いますか?”とか、“あなたはこう思っているんじゃないか?”っていう視線で歌詞を書いてきたんです。アコースティックツアーでは会場でアンケートを募ったり、ツアーと並行してイベントをやらせていただいたのでリアルタイムでお客さんの言葉をじかに聞く機会があったんです。そういう中で“同じ目線で物事を見られてるんだな”っていう手応えがあったんです。

そうだったんですね。

VALSHE:  

その影響で“自分”、“あなた”ではなく“僕たちは”という目線で歌詞を書く準備ができたことは経験値として、すごく大きかったですね。いろいろな楽曲に得たものが落とし込まれています。

だから“僕ら”という表現を使った曲が収録されているんですね。

VALSHE:  

はい。大事なところではハッキリ言葉にしています。作品を発表するときって安心(自信)と不安が混ざり合っているんです。“こんなこと思ってなかったらどうしよう?”っていう不安があったのが“我々はこうだよね”っていう強い気持ちを持って発信できた。そこは自分にとってはすごく大きかったですね。

アルバムはイントロダクションのSE「You can never cross the sea just by staring at the water surface」から始まって「海賊讃歌」に移行します。その流れにはストーリー性が感じられましたが、どんなふうに組み立てていったんですか?

VALSHE:  

アルバムにはシングル「「SYM-BOLIC XXX」」と「紅蓮」も入っているんですが、“現在のVALSHEの最大値を見せたいよね”という共通認識のもと、サウンドの方向性や歌詞に新たな目線をしっかり出せるようにしたいと思って取り組んだんです。「海賊讃歌」に関してはVALSHEのFC (『OVER THE HORIZON』)が船を想起させるような仕様になっていることもあって作った曲ですね。海を想起させる曲は以前にも作ったことがありますが、現在のVALSHEをテーマにした上での楽曲になっています。

VALSHEさんはつねにファンタジーとリアルのバランスを意識して歌詞を書かれていますが、お話を聞いていると“海賊”にはファンの方たちも含まれているのかなと感じました。

VALSHE:  

おっしゃる通りです。ざっくり言うならファンも含めたチームVALSHEの家訓みたいなイメージで作ってますね(笑)。身近な制作陣にも言えることだし、応援してくれる人たちも全員、船に乗っている人は家訓にしてくださいっていう。

誇り高い生き方を歌っていますよね。自分の命は自分で守れみたいな。

VALSHE:  

そうですね。船上パーティのクルーというよりは、もうちょっと荒々しいというか、各々が自分の誇りとプライドを持って、ひとつの大きな目的のために同じ船に乗り合わせている。自分にとってのチームVALSHEってそういうイメージなんですよ。大切なものがほかにもある中、みんな乗り込んでくれている。自分の命は自分で守ってほしいけど、「助けて」って言ったら助ける関係性を歌にできたらいいなと思っていました。最後のフレーズがいちばん言いたかったことなんですけどね。

“あとは気のまま 呑んで騒ぎ歌おうぜ 海賊讃歌 ”という箇所ですね。

VALSHE:  

そうですね。集まる目的は楽しいことだったり、夢のためだったりするので、それをVALSHE的に表現したかった曲です。

アルバムにはバリエーションに富んだ曲が収録されていますが、攻めのデジタルロックなナンバー「ACE of WING」をリード曲に選んだ理由を教えてください。

VALSHE:  

「ACE of WING」と「紅蓮」は同時期に存在していた曲なんです。メタルの要素が強いゴリゴリのサウンドで、自分の好みのど真ん中を突いている曲です。

生のバンドサウンドにしたら、もろにメタルになりますね。

VALSHE:  

おっしゃる通りです(笑)。なぜ「紅蓮」をシングルにして「ACE of WING」をリード曲にしたかというと自分の中にあったアルバムのビジョンを広げてくれる曲だったからなんです。VALSHEらしさをしっかり表現できる立ち位置の曲にしたくて、歌詞もアコースティックツアーを経たからこそ書けた内容になっていると思います。歌詞は“羽”がモチーフ。伝えたかったのはひとりひとりが羽を持っていて“あなたに私の熱意が見えているようにどれだけ地べたを這いつくばっていても飛ぼうとしている熱意が自分にはしっかり見えている”ということ。自分の考えというより“自分たちは同じ目線で一緒なんだよ”っていうことが言いたかったんです。

ミュージックビデオもこれまでのVALSHEさんなら、ストーリー仕立てで隠しアイテムがあったと思うんですが、今作はストレートですね。

VALSHE:  

そうですね。王道かつストレートなミュージックビデオは、自分の中では挑戦。「紅蓮」はファンタジックな世界観を打ち出して、「「SYM-BOLIC XXX」」はVALSHEの基礎になるような位置づけの映像だったんですが、今作で見せたいのはもっと無骨な感じで。いままでと大きく違うのは、VALSHEの顔がそんなにクローズアップされていないんですよ。サビの部分で綺麗に顔が見えていないといけないっていう刷り込みを全部裏切ってみるみたいな(笑)。構成の中での切り替えのカッコよさや疾走感だったり、自分がやってみたかったことや、いま良しとするものを追求しています。

衣装には海賊のイメージもあるんでしょうか?

VALSHE:  

はい(笑)。ただ「ACE of WING」のミュージックビデオの衣装でもあり、『PRESENT』の衣装でもあるのでバンダナや髪型に“これってもしかして海賊イメージしてるのかな”という要素として受け取ってもらえたらいいなと思っていますね。

最後の曲「present. 」はいちばん有機的なサウンドで、みんなでシンガロングできるような曲。この曲にはVALSHEさんからのプレゼント的な要素が感じられます。

VALSHE:  

先ほど少し話に出たように、アコースティックツアーを廻ったときに、箇所箇所でテーマを設けてアンケートをとらせてもらったんですね。自分自身が旅をする中で感じたことやアンケートを読ませてもらって思ったこと、気づいたことを受けて作ったのがこの曲です。最初はみんなの言葉を組み合わせて1曲作ってみるのも面白いなと思っていたんですけど、自分自身が本音として思ったことを書こうって。読み進めていく内に共通項として自分の中に残った言葉は“強さ”で、すごく美しいなと思ったんですよ。アンサーソングじゃないけど、現在の自分が思っていることをちゃんとひとりの人間として返せたらいいなって思って書いた歌詞です。“僕らのうた”って書かせてもらっているんですが、この曲においてもそうだし、アルバムを作った動機という意味でも鍵になる言葉だから入れたいと思ったんです。

今後は特設サイトで、予定が続々発表されていくんですよね。

VALSHE:  

そうですね。10周年だからこそできることは自分もたくさん考えているし、今後も考えたいと思っています。10周年の特設サイトがアップされて、第一弾がアニバーサリーアルバムじゃないっていうのはVALSHEらしいと思うので、楽しみにしてもらいながら、こういう世界情勢だけど、ちゃんと明日に期待しながら、みんなと合流したいなと思っています。

VALSHE 4th ALBUM『PRESENT』