『ISM』オフィシャルインタビュー

6thミニアルバムに『ISM』というタイトルをつけた理由をズバリ、教えていただけますか?

VALSHE:  

タイトルは文字の意味合いのとおり“主義/主張”という意味でつけました。10周年を記念したベストアルバム『UNIFY -10th Anniversary BEST-』に至るまでの6〜7年は特に“自分はこう思っているけれど、みなさんはどう思いますか?”ってファンの方に矢印を向けた作品を積極的に作ってきたんです。これまで応援してくれた方たちに贈るベストアルバム『UNIFY -10th Anniversary BEST-』で外側に向け切った矢印を、11年目に入っていろいろなことがあった中、改めて自分自身に向け直した作品を作ってみようと思ったのが『ISM』を制作するキッカケになっています。

これまで聴き手に向けて書いていたのが、VALSHEさん自身に向けて曲を書いてみようと?

VALSHE:  

そうですね。“10年歩んできて、今の自分自身はどうなのか? 自分の考えはどう変わったなのか?”を突き詰めたものを作品として提示したいと思ったんです。

音楽を始めた頃は自分にのみ矢印を向けた曲を書いていたんでしょうか?

VALSHE:  

初めて顔を出した時期のアルバム『V.D.』(2014年リリース)はCDを手にとってくれる方に対しての自己紹介的な側面があって、“自分はこういう気持ちで曲を届けたいんです”と音楽に向き合ったアルバムだったんです。時を経て、じゃあ、今、自分が主張したいことは何なんだろう?”と。改めて掘り下げてみたいと思ったんです。

思っていることを音楽を通して伝えたいという気持ちは溜まっていたのではないですか?

VALSHE:  

溜まっていたという感覚ではないんですよね。活動を含めてVALSHEとして発信するものの中に変化や成長を落とし込めればいいなと思ってきたんですが、今作はどこを切り取ってもVALSHEの主義/主張を表現している内容にしたかったんです。デビュー2〜3年目の時期ではできなかっただろうけど、今ならできると思ったのがこのタイミングで『ISM』をコンセプトにした理由の一つです。

タイトルをつけたのは最初ですか? 最後ですか?

VALSHE:  

最初です。

アートワークについてもお聞きしたいのですが、衣装は黒と金が基調になっていてビジュアル全体としては緑が取り入れられています。このイメージは制作当初からあったのでしょうか?

VALSHE:  

衣装の原型は当初、もう少しカッチリしていたというか、タイトなナポレオンジャケットがベースになっていたんですが、イラストレーターの白皙と打ち合わせを重ねる中、ブルゾンとナポレオンジャケットをミックスしたシルエットで新しい要素を取り入れたデザインにしてもらいました。ブラックとゴールドの組み合わせについてはアルバム『V.D.』で同じ色のタイトな衣装を着て、自分のアイデンティティについて歌っているので、それ以降のVALSHEの変化や成長を踏まえた上で提示しているのが『ISM』だということを示せれば、という意味合いがあります。緑に関してはリード曲の「GIFT」に紐づいているんです。フルサイズのミュージックビデオを見ていただいたら、なぜ緑なのか、想像しやすいと思います。

ミュージックビデオはVALSHEさんを中心にバンドのメンバーとダンサーが交錯して登場する迫力の映像となっています。

VALSHE:  

ライブに参加してもらっているダンサーやバンドのメンバーが1曲の中に登場する演出は初めてですね。ライブや音源で表現していることをミュージックビデオで具現化したいと思ったんです。根底にあったのはVALSHEがバンドをバックに歌っても、ダンサーと踊って歌っても、マイクを持って一人で歌っていても成立する楽曲を視覚的に表現したいという想いです。ミュージックビデオの見どころとしては初めて長回しの撮影にチャレンジしています。バンドとVALSHE、ダンサーとVALSHE、ソロのVALSHEを間髪入れず、ノンストップで見せたかったので、切替えに関しては監督やスタッフと話し合い、何度もリハーサルを重ねて臨みました。

「GIFT」はVALSHEさんのデジタルロックサウンドを継承しつつ、ラウドなアプローチが新鮮ですが、どんな風に生まれた曲ですか?

VALSHE:  

曲を作る前からミュージックビデオのイメージがあったんです。「映像でやりたいことがあるから、こういう曲でこういう歌詞にしたい」と話し合って、曲の土台をサウンドプロデューサーの瞬さんが作って、自分がメロディをつけた曲です。リード曲にすることは最初から決めていたので自分の源流になったサウンドをしっかり反映させつつ、ビート感で新しさを提示しています。

ミニアルバム『ISM』にはデジタルロック、フレンチエレクトロ、バラード、アニソン、ケルトミュージック、メタルなど振り切れた9曲が収録されていますが、全曲、全く違うジャンルにしたのはなぜですか?

VALSHE:  

歌詞にはそれぞれ、主義/主張が詰まっているんですが、先ずは音楽作品としてのアルバムを楽しんでほしかったので、VALSHEらしく全曲ジャンルを変えようと思ったんです。ライブを見てくださったり、アルバムを聴いてくださってきた方は私自分の振り幅の加減はある程度お馴染みだと思うので、それほど驚かないと思いますが、今作で初めて聴く方は“どれが本当のVALSHEなんだろう?”って。そういう気持ちになっていただけたら成功だと思うし、嬉しいですね。どの曲をVALSHEだと思ってもらっても間違いじゃないと思います。

タイトル曲である1曲目の「ISM」はインストゥルメンタルですが、かなり起伏に富んだ展開のナンバーですね。

VALSHE:  

いちばん最初に耳に飛び込んでくる曲なので、“1曲の中に自分の心の動きや頭の中の変化を落とし込めないだろうか?”と思ったのがスタートラインです。スタッフに「自分の脳内を曲に置き換えたら不協和音にしないと成立しない」という話をした上で制作した曲で、“調和”と“不調和”、“協和”と“不協和”をテーマに同居させたインストになっています。ピアノのメロディから始まる綺麗な曲かと思いきや、心が乱れるような展開に移行するという。気持ちが湧き上がった状態で次の「GIFT」を聴いてほしかったんです。

「Lingerie」はそのタイトルからして驚きましたが、曲調も歌詞も歌い方も冒険していますね。

VALSHE:  

曲調はK-POPの要素を取り入れています。この曲の主義、主張は“信頼”なんです。ディレクション、アレンジの方向性、歌詞、テイク選びまで全て任せて歌うことに徹した曲です。今まで一度もやっていない方法です。「GIFT」やフレンチエレクトロの「シープランド」、dorikoが書いたバラード「cue.」だったり、いろいろな曲と紐づいているんですが、信頼する人たちに任せて、VALSHEを料理してもらうイメージというか。“作って! 乗っかるから”というスタンスでした。完成した歌詞を見せてもらってタイトルがランジェリーだと知って“えっ!?”って(笑)。自分では絶対に書けない歌詞だし、結果的に良かったですね。

アルバムのラストは「INTRODUCTION」で締められますが、最後にこのタイトルを持ってきたのは、次に繋がっていくという想いからなんでしょうか?

VALSHE:  

「INTRODUCTION」のテーマは“今”なんです。今に対する自分の主張や考え方を書いています。ベストアルバムをリリースして10周年がコロナ禍で“これまでいろんなことをやってきましたね”って捉えられ方もされるけど、自分の気持ちとしては過去のことより、これから先を見据えているので、「INTRODUCTION」は最初じゃなく最後なんだよって。

最後に、久しぶりのライブの展望を聞かせてください。

VALSHE:  

現時点では久しぶりの単独ライブをいちばん楽しみにしています。まだ100%元通りの環境というわけにはいかないと思いますが、自分の想いを込めて作ったアルバムを掲げて、直接歌を聴いてもらう機会はコンセプトライブを除くと2019年のツアー以来なんですよ。今は配信ライブが普通になっていて、演者もお客さんも新しいスタイルに慣れていると思うんですが、“そうじゃないよね” “それじゃ満足できないんだ”という気持ちはみんな持っていると思うので、“ライブってこうだったよね”って思い出せるようなステージにしたいですね。

VALSHE 6th MINI ALBUM『ISM』